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ワンスアポンなタイム in Hitachi (Vol.2)

Vol.2  『おしえて通学路』


キョロ キョロ。
よし、いないな。
いつもの放課後。
集団下校じゃないこんな日、ぼくは丸腰なのだ。
校舎からほかの子がたくさん出てくるタイミングを見はからい、
目立たないように…
ぼくはそろそろと校門を出る。
まばらな草の茂みに背が低くなり はしっこを歩く。
パンパンにふくれたランドセルが目立っちゃうよなぁ〜


”オッ、いたぞー”
・・・!
見つかった。。)


この急坂は、いじめっ子を振り切って逃げるのには都合が良かった。
転びさえしなければ 嫌でもどんどん速くなる。
とてもあぶないこの坂は追う側にとっても同じこと。
過去に誰かが大けがをしただのの話はしょっちゅうだ。
だからお互いにリスクは犯さない。
ところが下りきってしまうと信号のない百メートル以上もある長い直線。
身を隠せるところも少ない。
見通しが良すぎて逆に困る。
だから方法はただ一つ、
走り始めたら意を決して必死で逃げるしかない。
追いつかれたらアウト。


・・・つかまれたらどうしよう。
不安になるも恐ろしくて後ろを振り返る勇気がない。
ならどうすりゃいい?


序盤の下り坂でいっきに加速、いまなら十分スピードに乗っている。
これを活かさない手はないはず。
どうしたらつかまらない?
とにかくまっすぐ前を見て、
背中のランドセル左右のブレがないようにムダなく走る。
それだけに集中しよう。
それが逃げ切れるかどうかを分けるのならば・・・


ふ-っ。
あぶないあぶない。。。
どうやら今日はたすかったようです。

佐藤 敏哉

  • 2020-05-07 (木) 12:19
  • コラム
  • 作成者:long jumper

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